構造研究クラブ

私見では有りますが、設計屋(弊社)とシールの専門家さん及び鋼製伸縮装置製作会社のOBさんとの意見を反映した物となります。

1,伸縮装置の構造寸法を決めるため(将来の3Dを見据えて)の線形座標計算を考える。

1-1,伸縮装置正面図(床版横断面)の計画高さを考える。(製作精度「走行性能」の向上を目指して。)

  1. 橋軸方向の計画高さ位置は腹板両前面(腹板遊間端)を基準と考える方が望ましい。
  2. 線形横断はA1(橋台パラペット前面),GE(桁端),S1(支承線)が一般的な橋梁に置いての標準的横断ですが此処で問題はこの腹板前面位置で線形横断線を設定されていない事です。(線形計算の段階では、腹板遊間が決まらない)従って、上記 A1,GE,S1から腹板前面(腹板遊間)位置の計画高さを補間にて再計算すべきと考えます。又線形座標計算は一般的な現状の少数以下4桁では無く少数以下10桁程度が必要と考えます。

1-2,平面図の地覆面の設置角度と横断方向寸法を考える。

  • 上記1-1a項の線形横断線A1の橋台パラペット前面の外側にパラペット背面若しくは、A1より1M程度の位置に線形横断線(A-1)を設けるのが望ましいと考えます。

 

2,製作時の断面形状を考える
(鋼製伸縮装置設計の手引き 平成17年4月(社)日本橋梁建設協会、P35下部参照)

2-1,現場設置の施工精度向上を考える。

  1. 路面に対してWebPLを直角に製作する場合と鉛直に製作する場合の2種類有りますが、壁高覧の外側を鋼製型枠等を使用する場合には縦断勾配がゆるくてもP35図3-21(b)右図の形状(WebPLを鉛直仕様)を採用する方が桁上設置部に施工精度向上をもたらし、伸縮装置と鋼製型枠の接合部の現場精度が向上するように考えます。
  2. 壁高覧が無い場合でも斜角の影響が大きい場合は(b)右図の形状(WebPLを鉛直仕様)を採用する方が現場設置の施工精度が向上するように考えます。

 

3,カバープレート&スライドプレートの2枚重ね合わせ構造について考える

3-1,歩道部についての問題点

  • フェイスプレート定着部空気孔より水が浸透して2枚重ね鋼板の間の腐食が進み錆汁が発生して不安感が生じると共に美観が損なわれる。

3-2,地覆部についての問題点

  • 斜角を有する橋梁に設置の鋼製フィンガージョイントにてエンドプレート&スライドプレートの平面設置角度は桁の移動方向(若しくは櫛の設置角度)と同様とすべきでしょう。地覆部平面形状(カバープレート)は平面線形に合わせて設置するもスライドプレートの設置角度と同じに成らず構造上の干渉を避けるため隙間を必要とし「2枚重ね合わせ構造」が不可能となる。此を解消する為にカバープレート&スライドプレートの2枚重ね合わせ構造の間に腹板が必要となり構造が複雑化する。又此の時のスライドプレートは地覆線形(カバープレート)と同等の角度を製作上必要とし伸縮方向角度とスライドプレートは異なる角度を有してしまいます。よって地覆部シール材は平面的には台形形状に成るもスライドプレートと異なる方向(櫛の設置角度)に伸縮を繰り返しシール材の早期劣化をもたらすものとなる。

3-3,歩道部&地覆部共通の問題点

  • 上下変位量(桁のたわみによる回転にての物&縦断勾配による物等)によりカバープレートとスライドプレートが擦れる時の騒音発生を回避する為、板厚差を設ける。 従いまして材料(板厚種類が多く)手配が複雑となる事に加えて、材料ロスが増える。
    カバープレートの厚さをEJ-1,EJ-2同じにして縦断勾配と横方向変移を考慮してスライドプレートの位置を決めるのが良いと思われます。

 

4,非排水装置と滑り止め対策について考える

4-1,非排水装置について

  • 大きく分けて弾性シール材を用いる物と乾式止水材を用いる物との2種有ります。一方は昭和40年頃から施工されていて歴史が長い分実験等にてかなり洗練されているように思います。もう一方は弾性シール材の欠点を補うために考えられた方法のようです。しかし長所と短所は技術の進歩により変化しますのでその時の最新情報を入手して判断するのが賢明と考えます。

4-2,鋼製伸縮装置フェイスプレート上面の滑り止め対策について

色々有るようですが今現在私が理解している物は以下の3種類です。

  1. 切削加工により溝を作り摩擦抵抗の増大を図る物
    横断方向に溝を製作します。公社で採用されています。
  2. 金属溶射にて摩擦抵抗の増大を図る物
    アモルファス合金溶射工法が効果的のようです。
  3. 骨材を混ぜた樹脂を塗装し摩擦抵抗の増大を図る物
    摩擦素子コート工法が効果的のようです。

それぞれに長所と短所が有るようです。良く研究されることが良いように考えます。